


毎度おなじみ?!お祭り大好き、ねねやんと申します。
姫路、播州の女子たちがどれほど祭りを愛しているのか、
今回も熱量MAXで、お届けしたいと思います!
◆継承美
少々まじめな語り出しですが・・・
この言葉を強く強く感じたのが「大塩(おおしお)の秋祭り」です。
数年前に「祭り好きやったら、大塩(の祭りを)見に行こうぜ!」と
友人から誘われたのが、出会ったきっかけ。
ここのお祭りの特徴は獅子舞だと知ってはいましたが、
正直、獅子舞ってそんなに興味ないんよなぁ・・・とほとんど期待していませんでした。
でも!でも!すみませんでした!!!
なにこれ、全然違うけども?!
今まで見ていた獅子舞はなんだったんだ!!!
ずきゅんっ!とココロを打ち抜かれました!!!!
天に向かって猛々しく舞い踊る獅子、獅子、獅子・・・。
獅子を自在に操る「舞い子」のみなさんが、まさしく「あっ」という間に入れ替わる美しさ。
獅子の道中を支える氏子のみなさん。
気合い十分、額からも背中からも汗が流れ落ちる青年たち。
秋の夜の闇に浮かび上がる獅子の乱舞がすばらしくって、
ああもぅ、なんて美しいお祭りなんだ・・・とほれぼれしました。
ごめんなさい、やっぱり無理です。
あのすばらしさは、言葉でなんか言い表せない。
こればっかりは観ていただいた方がえぇわけなので、
ぜひ10月に、大塩天満宮へ足をお運びください!

”地舞(じまい)”の様子 / 写真 by 蝶蝶魚
では今回、ここからは姫路の秋祭りの奥深さ、
大塩天満宮の「継承美」を味わい尽くしていただくために
ぜひとも注目していただきたい見どころを、
言葉では言い表せない!でも知っていてほしい!という煩悶そのままに、ご紹介します。
◆アクセス抜群!最寄り駅から歩いて約3分
大塩天満宮秋祭りがおこなわれるのは、毎年10月14日(宵宮)・15日(本宮)。
会場である大塩天満宮は、山陽電車・大塩駅から歩いて2〜3分のところにあります。
駅から神社までは1本道で、人の列について行けばいいので、
海外からの観光客も1人で行けちゃうくらい。迷子になるひまもありません。
この大塩という町は、古くから塩業で栄えた地域。
1955(昭和30)年ごろまでは、大塩駅をおりて南側は、見渡す限りの塩田だったそうです。
※ちなみに、このあたりのお屋敷はとっても大きくて、
どれだけ栄えていたかがよくわかるので、お時間に余裕のある方は散策してみてくださいね。
◆五穀豊穣、地区の安泰を願う気持ち
大塩天満宮秋祭りは
姫路市と高砂市にまたがる地域の氏子さんたちの手で継承されており、
五穀豊穣、地区の安泰を願う気持ちが込められています。
祭りの盛んな姫路エリアでも突出して有名なのが、この地区ならではの「毛獅子舞」。
全身の毛を振り乱して舞う様は、「獅子舞を見るなら大塩で!」と言われているほどです。
毛獅子が登場するのは、
10月14日(宵宮)19:00〜21:00ごろと、15日(本宮)14:00〜17:00ごろ。
8つの丁(町)の宝である8頭の毛獅子が夜空をバックに舞う様を、絶対絶対見てほしい!
(※8頭すべてが揃うのは、10月15日のみ)

◆全身、馬の毛!めちゃくちゃ重たい
獅子舞は、仏教とともに唐から伝えられたといい、
大塩天満宮の毛獅子舞は、鎌倉時代から奉納されていたそうです。
全国各地の神社でおこわれている華麗な神楽獅子(かぐらじし)とは全く異なり、
大塩の毛獅子は野性味あふれる「野獅子」がモチーフ。
頭から尻尾の先まで、黒や茶色の毛(なんと馬の毛!)でおおわれています。

頭部の重さは、5kgほど。
「それなら、私でも持てるわ!」と思われるかもしれませんが、
毛獅子の頭を持ってみると、馬の毛の重量が加わるため、かなりずっしり。
実際は、トータル10kgぐらいになるそうです。
さらに・・・
獅子舞の頭の部分って、
人の頭にかぽっとかぶせて動かしているもの、と思っていませんか?
えぇ、私はそう思い込んでいました。
だれか1人が着ぐるみのようにかぶって、自分の首ごと、ぶんぶん振り回しているのだと。
実際は、頭部の内側に木枠が組んであって、手を前に突き出したような格好で、その木枠をつかんで操作するそうです。
これ、めちゃくちゃ手が・・・というか、腕全体が疲れるやつ。


大塩天満宮の毛 獅子舞は、踊りだけでなく、
頭を支えるための体力が必要なので、体力のある人が舞い手を務めます。
みなさんの想像よりも激しく動かし続ける必要があるから。
年齢制限があって、30歳ぐらいまでじゃないと難しいと聞き、
舞い手が途中で何回も交代しないといけないくらいハードなのだと
間近で見て、感じて、納得しました。
◆一番の見どころは、道中舞!
大塩天満宮の秋祭りで、私が思う一番のみどころは「道中舞(どうちゅうまい)」です。
ひらたく(簡単に)言うと「獅子舞のパレード」。
境内から社殿前まで、100mほど続く石畳を、丁(町)ごとに異なる毛獅子が激しく舞いながら進みます。

これがもう!迫力、美しさ、かっこよさ、幽玄さ・・・
日本の美という美の結晶ともいえる、やっぱり言葉で表せない舞なんです。
獅子頭を高く差し上げながら
各丁(町)の毛獅子が太鼓や笛の音、勇壮な掛け声にのって進みます。
やはり、毛獅子が空に向かって豪快に舞う様子に目もココロも奪われるのですが、
絶対に見ていただきたいのは、毛獅子を支える氏子さんたち。
荒ぶる毛獅子の下で騎馬を組んでいる人や、その騎馬をがしっと支える村の衆の姿です。
やんちゃそうな茶髪の若者から地域の消防団を務めるミドルエイジまで、
だれもが全力で体を張っているのが、メチャクチャかっこいい!
舞があまりにも激しいため、騎馬を支えている方々は必死の形相で、
「あかん!あのヒト、首が折れるぅぅぅ!危ない!折れるぅぅぅ!!!」と心配になるほど。
すべての男性が男前に見えてしょうがない
播州のお祭りマジックの中でも、ダントツでカッコいい!と思うのです。
さて、大塩天満宮の毛獅子舞。
じーっと見ていると、すごく大変な動きをしておられることに気づきます。
騎馬も、騎馬の上の毛獅子役の人も、手品のようにメンバーが入れ替わっていくのですが、
いつ入れ替わっているのか、どう入れ替わっているのかがわからない。
生きているかのような毛獅子の姿に気をとられているうちに、
「あれ?また変わった?!あれ?いつのまに????」となっていて、
この入れ替わりの巧みさこそが、最高の「継承美」なんじゃないのかなと思うのです。
◆毛獅子舞の仕組みを図解してみた!
大塩天満宮の毛獅子舞では、支える役が5〜6人。
騎馬を組むのは共通なのですが、丁(町)によってスタイルがちょっとずつ違うのです。
毛獅子の頭を操る人、騎馬を組む人、前と後ろにも必死で支えている人がいます
(※3人がタッグを組んで、真ん中の人の上に獅子舞を舞う人が肩車にまたがるようにして座ります。その足を左右の人ががしっと持つのですが、毛獅子の頭が激しく動くたびに真ん中の人の首がもげそうになっている・・・)
私たちがお話を聞いた「中ノ丁」という地域では、毛獅子の頭を操る人が騎馬の上で「立つ」スタイル。
(なんなら、立っていないと怒られるそう。笑)
毛獅子の頭を操る人の足を、左右の人がしっかりつかんでいるため、
中ノ丁さんの「首もげポジション」は、実のところ、最も楽ちんなのだとか。
そして一番の「鬼の形相ポジション」は、騎馬の左右についている人たち。
前方に2人いて、前に倒れ込んでしまわないよう、押し返すように支えるのだそうです。

本番だけでなく、練習風景も見せていただいたのですが、
舞い手も、それを支える人たちも、丁(町)のみなさん全員が
常日ごろから信頼しあっているからこそ生まれる「あうんの呼吸」が
世代を超えて引き継がれていく・・・大塩の「継承美」、本当にすばらしいなと思いました。
騎馬だけで5人、獅子頭を持つ役1人、合計6人でワンチーム。
入れ替わる際には、騎馬の背後で
騎馬役+舞い手が列をなし、スタンバイしているのだそうです。
◆毛獅子舞は、境内あちこちで同時進行!
道中舞で、毛獅子が登場する順番は毎年変わるので、
お目当ての丁(町)があれば、ぜひその年度のスケジュールをチェックして!
ちなみに、道中舞が終わったら、次は奉納舞(地舞)。
太鼓や横笛の奏者が毛獅子をぐるっと取り囲み、能舞台などで乱舞します。
ライブ感満載で、色んな楽しみ方ができるのも、大塩天満宮の秋祭りのおすすめポイント。
ちなみにこの毛獅子舞にはストーリーがあり、
6地区・6頭の毛獅子舞で1つの物語を表しているのだそうです。
舞い方も表情も何もかも、丁(町)によって毛獅子の特徴が違うのですが、
私が気に入ったのはこちら、ひょっとこ!
花を手にしたひょっとこが、毛獅子の前で舞うのですが、
これがものっすごく、ものっすごくアクロバティック!
(物語としては最初のシーン、野獅子を洞窟からおびき出す場面を表しているのだそうです)


びゅーん!と思いっきりえび反りになったかと思うと、びゅーん!と戻ってくる。
一瞬、人形がぶんぶん振り回されているのかと錯覚しましたが、お面をつけた人でした。
これ、ものっすごい腹筋いるんとちゃいますか?
と思ったら・・・大勢の人が下で支えていて、びゅーん!と戻しているんですね。
土台に3人(1人が肩車。2人が足を持つ)、前に2人、後ろに2人の合計7人。
1人のひょっとこを、6〜7人で支えるそうです。
人数が足りないときには、足りないままでやっちゃうそうですが、
あのアクロバティックな動きは息の合った者同士でないと、なせない技だと思います。
後日、長年ひょっとこ役を務めたというFさんに話を聞いてみたところ、
「あれはめちゃくちゃしんどくて、次の日は仕事になりません」とのことでした(笑)。
・・・ですよねぇ。
